TOPページ UP 2005.03.18
代田の大人形 (ダイダラボッチ)


<メモ> 石岡市井関地区で毎年8月16日に行われる民族行事で、藁製で全身に杉の葉を刺した大人形が作られる。人形は、集落に疫病などの災厄が入らないように、一年間道端に飾られる。
 起源は古く定かではないが、かっては井関の小字毎に、この大人形造りが行われていたようである。現在でも、代田、長者峰、梶和崎、古酒の4箇所で行われている。
 後継者不足、材料不足で、このような風習が各地で失われていくなか、真に貴重な民俗行事といえる。 ( 市指定無形民俗文化財 平成16年3月25日指定 )

<伝説> 昔々、ダイダラボッチという巨人が代田(石岡市関川)に来て、平野の中に盛り上がった筑波山と西の方角にそびえる富士山のどちらが重いか考えた。そこで二つの山に藤蔓縄をぐるりと巻いて、天びん棒の両端に引っ掛けた。両足を踏ん張って、かつぎあげたとたん藤蔓縄がぶっつり切れて、筑波山がドサッと落ちた。その拍子に筑波山の山頂が二つに裂けて、今のように男体と女体の山ができたという。この時の足跡が、片方だけ代田に残っており、およそ十アールほどあるという。

<私見> 代田はダイダラボッチからきた地名ではないだろうか。東京都世田谷区代田にも大人形(ダイダラボッチ)の伝説があるそうである。石岡市関川には今も代田の地名がのこっていて、大人形が作られているのは、まさにこの代田の地なのである。
 大人形の風習、ダイダラボッチ伝説、それに代田の地名、この三点セットが揃っているのは、全国的にも珍しいのではないだろうか。

    <大人形の製作 2004年8月16日>
これは昨年の大人形です。
1年間、風雨に晒されたにもかかわらず、形が残っているのには驚きです。
解体して焼却しているところです。
1年間お疲れ様でした。
胴体の作成中です。
左方の茶色い角柱が心棒(背骨)で、隣の籠は頭になります。
胴体部分が完成しました。
角柱が藁で被われ、籠が上にかぶせられています。
顔になる手書きのお面が傍に用意されています。
胴体の製作に平行して、手足その他の部品が作られます。
材料(藁)が用意されました。作業開始です。
部品の製作中です。
藁で色々な形を作りますが、これには昔からの農作業の知恵が活かされています。例えば藁を放射状に編んで作る円盤状の部品(お腹や刀の鍔に使われる)は、米俵の蓋と同じ作り方なのだそうです。
部品の製作中です。
子供たちが大勢参加しています。
完成した部品が運ばれてきました。
組み立てが開始されました。
部品の固定には藁縄が使われます。
裸の大人形の完成です。
杉の小枝を全身に刺して、大人形が完成しました。
これから1年間ここに佇みます。

(近年は小振りになってしまいましたが、かっては石塀より背が高かったそうです。)
 
    <代田以外の大人形>
長者峰の大人形
梶和崎の大人形
古酒の大人形